新たにインテルの指揮を執ることとなったガスペリーニ監督は、今シーズン前半までの数年間、ジェノアの監督でした。3-4-3フォーメーションを重用して好成績を収め、質的にもおもしろいと評判をとったりもしたようです。
ボールをもらったチコは少しドリブルで進んでから、タッチ際のメストにパス。
#2

チコは、ボールを放すとすぐに前へフリーランニングしました。
#3

さらにチコはボール無しで前進しました。メストは、その方向に縦パスを転がします。
#4

上の絵、背後の広告看板にプレーヤーが溶け込んでしまって不明瞭ですが、円内に3選手がいます。
メストからのボールを受けたチコは中へのパスを狙いますが、かたちができておらず、若干の間、キープすることになります。
#5

ともかくジェノア側は、わりとかんたんに最前線で数的同等シチュエーションをつくれました。
まあ、この場合は、チコが即座に内へクロスを送れなかったので、ローマのタッデイらが1名減った最終ラインをフォローできるんですが。
チコは、上がってきたカルジャにパス。
#6

カルジャはダイレクトでのシュートを試みず、ドリブル突破を図ってフアンに阻止されます。
● 単純・イズ・ベストの背景
上記はごくごく普通なオーバーラップにすぎません。とりたててどうこうというまでもないですね。それに、ローマに防がれてしまった攻めでもあります。
ただ、3-4-3の場合の最終ラインはいわば「3センターバック」であり、4バック・フォーメーションの「サイドバック」みたいには前進しないといった、ある種の通念めいたものが世間の一部に流れているようです。ガスペリーニ・ジェノアでは、そういう禁忌はありませんでした。機会があれば、このようなナチュラルさで攻撃参加していきます。
もうひとつ重要な点に、#4で見られるピサーロのような行動が、以前よりも増加しているという世界的な傾向があり、ジェノアの動きにはそれを突くという狙いがうかがえます。
#4

ピサーロは、ボールを預けてフリーランニングするチコに、いったんは並走しかけました。しかし途中でマークを放棄し、#4のように、リーセが対応中だったボール・ホルーダーのメストに向かいます。
自分の役割は中盤だ、受け渡すぞということだったでしょうか。確かに理屈ではそれでもよさそうではあります。タッデイやブリーギがもうちょっと早めに下がれば大丈夫そうでした。また、ディフェンスは相手と同数までは普通に守れということかも。それならそれでいいですけど、ジェノア側はそれを望んでいて…
かつてなら、判断ミスでこうなることはあっても、理屈では、ピサーロはチコをマークし続けろといわれたはずです。前に、
リヌス・ミケルス理論とともに実例を図解したように。 まあ、しかし、#4のあたりでピサーロ(あるいはリーセ)がボール奪取できればよかったでしょうし、集中ムードで「プレッシング」しているような動き方が、最近はすごく人気を博していますから。
が、奪えなければ、この実例で途中まで成功しかけているフィニッシュに持ち込まれる場合が多そうです。以前、日本代表チームの失点要因の一つとして示したように(これについては
岡田ジャパンについての動画記事 “古井戸のロジックとマルディーニ” をご参照ください)。
近年の「プレッシング論調」は、成功したとき礼賛ムードで、うまくいかなかった場合は「プレスがかかってない」というばかりで、少しもロジカルなところがなかったりしますね…
長くなってしまいました。続きは下記へ。
≫ 3-5-2ではなく3-4-3 インテル新監督ガスペリーニのジェノア時代